「寝れば治る」は本当?
「寝れば治る」といわれることがありますが、著者によればこれは本当なのだそうです。もちろん重度の病気が治るわけではないものの、眠ることにより症状が楽になることは少なくないというのです。なぜなら、眠ると余分なエネルギー消費を抑えられるとともに、免疫細胞が元気になるからです。
熱が出たり、風邪をひいたりしたときに眠くなるのは、免疫システムが強制的に睡眠状態に持ち込んで体を守ろうとする免疫反応なのです。
寝ているときに免疫細胞を元気にするのは、睡眠中に分泌される「成長ホルモン」。成長期の骨格や筋肉の発達を促す物質として知られていますが、免疫力を強化する役割もあるというのです。
そのため充分な睡眠をとれているときは免疫はきちんと働いてくれますが、睡眠が不足すると成長ホルモンがうまく分泌されず、免疫力が低下してくるわけです。
睡眠時間が短いと風邪をひきやすくなることは、研究によっても明らかにされています。
米学術誌「Sleep」(スリープ)に発表された研究によると、睡眠不足の人が風邪をひく確率は、十分な睡眠をとった人より4倍以上高くなると報告されています。
一晩の睡眠時間が6時間未満だった人は、7時間を超える睡眠時間をとっていた人と比べて風邪の発症リスクが4.2倍高く、5時間未満の人は4.5倍も高いという結果でした。
とはいえ、ただ眠ればいいというわけではなく、睡眠の「質」を重要視することも大切であるようです。
「質のよい睡眠」の特徴とは?
ご存知のように睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、私たちは眠っている間、この2つの眠りを約90分の周期で一晩に4~5回繰り返しています。
レム睡眠は半覚醒状態にある浅い眠りで、体は眠っているものの脳は記憶の整理などを行っている状態。ノンレム睡眠は体も脳も急速に入っている状態で、眠りの深さによって3~4段階に分けられるそうです。
質のよい睡眠に欠かせないのがノンレム睡眠で、とくに重要なのが、入眠から3時間までの深いノンレム睡眠の時間帯。以前は「22時~2時の間が睡眠のゴールデンタイム」とされていましたが、近年は多くの研究により、成長ホルモンは時間に関係なく、眠りについてからの3時間のあいだに多く分泌されることが明らかになっているといいます。
つまり、眠りに落ちてから最初に訪れるノンレム睡眠の間にぐっすり眠ることができれば、成長ホルモンが分泌されて免疫力が上がるということ。
心がけるべきは「免活睡眠」
質のよい眠りを得ることができなければ、どんなに長時間眠ったとしても、睡眠が不足しているのと同じこと。体と脳が十分に休息することができずに疲れがたまるだけではなく、免疫力もどんどん低下してしまいます。
言い換えると、毎日充分に質のよい睡眠がとれていれば、免疫力は自然と高まり、病気に強い体を維持できるということでもあります。(90ページより)
たかが睡眠と侮らず、免活となる睡眠、すなわち「免活睡眠」を心がけるべきだということです。
睡眠時間は、短すぎても長すぎても免疫力が低下します。
免活睡眠がおすすめする睡眠時間の目安は、7時間。
まず起床時間を基準にして、そこから7時間を引き算して、就寝の時間を決める。
たとえば、いつも朝7時に起きるのであれば、就寝時間は夜12時になります。