残っている歯の本数が、認知症の発症リスクや進行度と密接に関係している。
「アルツハイマー型認知症患者の歯の本数は、平均して健康な高齢者の3分の1で、かつ失った歯の本数が多い人ほど脳の萎縮度が高いという報告があります。昔から『歯がない人はぼけやすい』と言われていますが、これは科学的に見ても正しいのです」
歯のあるなしだけでなく、歯周病もアルツハイマー型認知症の一因になるのだそう。
「歯周病になると、歯周病菌が出す毒素により、血液中に炎症物質『サイトカイン』が流れ込みます。これが脳に入ると、脳のごみと呼ばれるたんぱく質『アミロイドβ』が増え、海馬を中心にたまっていくのです。海馬は、記憶をつかさどる部位。ここの神経細胞がアミロイドβに圧迫され死滅すると、記憶力が低下します」
こうしたリスクを回避し、いつまでも健康に過ごすためには、正しい方法で歯磨きをして口の中を清潔に保つことが大切です。
「歯周病菌を減らせれば、サイトカインの発生を抑え、歯も温存できます。自分の歯で噛むと、歯の下にある歯根膜内の血管を圧縮。噛むたびにポンプのように脳に血液を送り込み、脳内のアミロイドβを押し流すことができます。今ある歯をすべて残すことを目標に、歯のケアをしていただきたいですね」
・歯磨きは1回15分を目指す
「プラークは24時間で歯石化します。1日1回は丁寧に歯磨きをして、歯石化を防ぎましょう」
プラークを落とすには、歯1本につき歯ブラシを5~10ミリ程度の幅で小刻みに動かし、20~30回ブラッシングを。これをすべての歯で行うと、10 ~15分かかります。現在の歯磨きの所要時間が5分未満という人は、まずは5分を目指して。また、1日の歯磨きの回数が1~2回の人は3回に増やしましょう。
・歯科の定期検診で予防を
「どんなにケアしていても、磨き残しはあるもの。日頃の歯磨きが適切か確認するためにも、2~3ヵ月に一度、歯科医院でメンテナンスを受けることが大切です」
かかりつけの歯科医院がない人は、ある人に比べ平均1・44倍認知症になりやすいとの研究結果があるそう。歯科医院は「治療のため」から「予防のため」に通うところと認識を改めて。
コロナを憚って歯医者様へかかることが1年以上できておりませんが、それ以前は定期的に診ていただいていたので今もボケることなくいられるのかもしれません