90歳の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、健康などに役立つ話を覚え書きしていきたいです

虫歯が「脳卒中」を引き起こして死に至る

 実は、コロナ禍によるマスク生活で、私たちの口の健康が損なわれている。受診控えに加え、マスクそのものによる問題も大きい。マスクは口の乾燥を抑えると考えられているが、本当は違うのだ。森氏が続ける。

 「マスクの着用中は鼻呼吸がしにくいため、口からよりたくさんの空気を吸おうと、無意識に口呼吸になります。こうなると口内の唾液が乾いてしまい、口が乾燥してしまうのです。殺菌作用が十分ではなくなり、虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑えられず、口内の崩壊を招きます」

 

 

 

口内のトラブルは口だけの問題にとどまらず、命も脅かしかねないことを覚えておきたい。

 ミュータンス菌に代表される虫歯菌は歯に付着することで、エナメル質を溶解(脱灰)する。そのまま虫歯が進行していくと、歯の根元まで虫食いのように穴が開いてしまう。根元の炎症部分である根尖病巣から虫歯菌が脳の血管に入り込むと、血小板の動きを悪くして出血を起こし、脳卒中の原因となることがわかっている。

 

 一方、ジンジバリス菌などの歯周病菌は、歯ではなく歯茎に感染して炎症の原因となる。歯茎の組織が破壊されてもろくなり、少しブラシを当てただけで血が出たり、ブヨブヨに腫れたりして傷がつきやすくなるのだ。

 こうしてできた傷口から歯周病菌が体内に侵入すると、動脈硬化巣と呼ばれる血管の詰まりの原因物質となり、心筋梗塞の発症確率を高めてしまう。ジンジバリス菌は、歯茎とは一見関係のなさそうなアルツハイマー認知症を起こすとも考えられている。九州大学大学院歯学研究院准教授の武洲氏が語る。

 

 

「自分は虫歯や歯茎からの出血がないから大丈夫」と考えるのも間違いだ。厚生労働省の統計によると、35~69歳人口の約7割が歯周病の初期段階である歯肉炎を患っているというデータがある。また、口臭が気になる人は、歯肉炎の症状があることがほとんどだ。

 疲労やストレスなどで体調を崩した時にできる口内炎も厄介だ。特に加齢とともに免疫力が落ちてくると、虫歯菌や歯周病菌への抵抗力も落ちるが、口内炎もできやすくなる。