80代の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、健康などに役立つ話を覚え書きしていきたいです

3カ月で椎間板再生 注射1本でできる「腰痛」の根本的治療

再生医療による腰痛治療の治験が昨年5月からスタートしている。日本で初めての試みであり、腰痛における初の根本的治療でもある。この治療を開発した東海大学医学部整形外科准教授の酒井大輔医師に話を聞いた。

 

 人間の背骨を構成する椎骨と椎骨の間でクッションのような役割を担うのが椎間板だ。これが障害を受けると、腰痛を症状とする椎間板ヘルニア、腰椎変性すべり症、脊柱管狭窄症などさまざまな病気を引き起こす。 

 

「腰痛患者は一説には1000万人ほどいるといわれており、腰痛の相当数が椎間板の障害を起点としています。椎間板の変性が進み、やがてすべったり狭窄したりすると、もう元に戻らず、手術しかなくなる。変性が進みすぎない段階で手を打つべきですが、痛み止めなどの対症療法しかなく、根本的な治療法がありませんでした」

その状況を打破すべく、酒井医師は長年研究を行ってきた。

 

今回の治験では、米ディスクジェニックス社が開発した細胞治療製品を移植に使っている。免疫の面から見ると自分の細胞を使う方が安全だが、細胞の処理などで手間がかかり費用が高額になる。ディスクジェニックス社の細胞治療製品は、成人ドナーから採取した細胞を大量培養したもので、費用が抑えられる。治験の主な目的は、この細胞治療製品の安全性と有効性を評価することだ。

 

「大量培養した細胞は椎間板への定着をよくするためにヒアルロン酸と混合しています。これを椎間板の変性した部分へ注射で注入します」

 

 これまでに行われた動物実験では、画像検査、肉眼像、組織像すべてで投与してから12週間経過後に椎間板に有意な修復が見られている。

「まず炎症が治まり、ゆっくりと修復・再生が始まります。痛みは投与後1カ月くらいで取れますが、さらに組織が修復するには、細胞が定着し、細胞の正常な営みが行われなければならないので、再生の確認には3カ月ほどかかります」

 

 

注射一本の治療で、入院も必要ない。この治療が普通に受けられるようになるのはもう少し先だが、QOL(生活の質)を著しく下げる腰痛を改善する選択肢が新たに登場するのは、腰痛患者にとって喜ばしいことであるのは間違いない。