90歳の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、健康などに役立つ話を覚え書きしていきたいです

アトピー性皮膚炎の塗り薬は「やめ時」が肝心! かゆみが消えた時点ではまだ早い

アトピー性皮膚炎は皮膚の細胞が炎症を起こし、かゆみを引き起こす疾患です。汗をかきやすいところに出やすく、悪化すると首や顔など目立つところにも表れてきます。軽度から重度まで症状や程度もさまざまですが、重症化すると、社会生活や学校生活にも影響し、生活の質(QOL)を大きく左右します。

 

 

 遺伝や環境要因などさまざまな要因が考えられ、多くの因子が関わる、意外に複雑な病気です。皮膚のバリアー機能が低下したところにストレスやアレルゲンの侵入などにより、皮膚の炎症を起こすサイトカインが活性化されてかゆみが起こると考えられています。

 

 

 アトピー性皮膚炎に関しては、治療薬やその使用期間など、いろいろな誤解がまだまだ多く存在しています。長い間、アトピー性皮膚炎はステロイド系の飲み薬や塗り薬で症状を抑える治療法が主流でしたが、根本的な治療には至っていませんでした。しかし、病態の解明に伴いアトピー性皮膚炎の治療法は大きく変わり、効果的な治療薬が次々と開発され、治療は目覚ましい進歩を遂げています。現在も海外でアトピー治療薬の治験が90種類ほど行われています。

 

 

 2018年には、サイトカインという炎症物質を抑えるデュピクセントという注射薬が保険適用となっています。皮膚の内側で起こっている炎症を抑える効果があり、有効性も高く高額医療保険の適用もされています。

 

 

 20年12月にはオルミエントという飲み薬も保険適用となりました。これも炎症性サイトカインの活性化を抑える治療薬です。注射が嫌いな方はこちらの方がいいかもしれません。しかし感染症になりやすくなる副作用もありますので、主治医の先生と相談して選択しましょう。

 

 

 アトピー性皮膚炎の治療の基本は外用療法なので、中等度以上の方の治療は基本的には塗り薬と注射(デュピクセント)や飲み薬(オルミエント)で進めていきます。注射薬や飲み薬を使うことで比較的早めにかゆみの改善が見られます。

治療後4~6カ月経っても治療反応が見られない場合は、それ以降の治療方針の見直しが必要ですが、多くの場合は改善が見られます。

 

 

 ただ、治療で注意すべきは、外用薬のやめ時です。かゆみが治まっても、皮膚がザラザラしていたり、粉っぽさが残っていると、症状が再燃します。見た目は良くなったようでも、皮膚の中の炎症が治まるまでは薬を塗り続けなければなりません。そしてスキンケアは必ず行いましょう。

 

 

 

 アトピー性皮膚炎は治療の選択地が増えたため不治の病ではなくなりました。治療をあきらめていた方もぜひ皮膚科に行ってみてください。きっとご自身に合った治療が見つかるはずです。