皆さんの中に、身体の不調があり、病院で治療したのにも関わらず、その病気の発症の原因がわからない病を経験したことはないでしょうか。病気などではなく、例えば肩や首、腰の痛みが湿布などを処方された後も原因不明の痛みにずっと悩まされているというものもそうです。
実は体の病気として表れているものの、心理社会的要因(ストレス)によって引き起こされている疾患があります。今回は実際に体への不調として表れる心身症についてお話させていただきます。
心身症はストレス関連疾患
「心身症」は病名ではなく、病態名となります。そして、基本的には身体に症状が表れる病気です。身体のどこかに不調を感じて病院へ行き、それを医師からは別の病名として一度は診断されます。その病名が間違っているというわけではなく、その病気を発症、または悪化に心理面(ストレス)が関わっているというものを心身症と呼びます。
心身症は、別名「ストレス関連疾患」と呼ばれているのです。 腰の痛みを例に出すと、腰の痛みでは整形外科を受診し、湿布薬で様子を見るように医師から診断されます。その時の診断名は「腰痛症」です。
しかしその後も痛みを繰り返すようになり、脊椎精密検査など詳しく調べても体に異常がない場合には、心身症が疑われるといった流れを辿ります。 心身症は、さまざまな病気で認められます。代表的な症状は下記のようなものです。
・高血圧症
・糖尿病
・慢性蕁麻疹
・円形脱毛症
・腰痛症
・心因性インポテンス
・緊張型頭痛
これらの症状はもちろん器質的な障害によって引き起こされるものもありますが、ストレスが原因で起こる症状でもあります。過敏性腸症候群は腸にポリープやがんなどの原因となるものがないのにも関わらず、下痢や便秘を繰り返してしまったり、腹痛に悩まされます。さらには、食欲不振や嘔吐などに至る場合もあります。
原因不明の症状が続く場合は心療内科へ
まずは身体の症状に該当する病院へ行くことを心がけてください。それは重大な病気の前触れという可能性も十分あり得るからです。
心身症について、医師の判断はとても難しいものになります。医師はまず身体に出ている症状について調べ、投薬などの治療にあたります。そして、その症状について検査をしたものの原因が見つからない症状に対して、初めて心身症を疑います。
心身症は心療内科が専門の診療科となるので、心身症を疑われた時には身体疾患を治療していた科から移動することになるでしょう。心療内科は、心身医学に基づき身体の疾患を診る診療科なので、頭痛という症状が出ていてもメンタル面の不調からくるものだろうと本人が判断して、最初から心療内科を訪れても構いません。心療内科は内科の1つでもあるので、器質的なものかどうかをしっかりと検査してくれます。
治療は、身体の症状に対するものと、メンタル面に対する治療が必要になります。別々ではなく、心身を同時に診療することで心理状態と身体機能のつながりを正常に戻していくのです。同時に治療する必要があるため、どちらも治療することができる心療内科が適しています。