少し前に、糖質を摂らずにいられなくなることを意味する「糖質中毒」という言葉が話題になった。しかし医学博士である『脂質中毒』(岡部 正 著、アスコム)の著者は、同じように「脂質中毒」も恐ろしいものなのだと主張している。
たとえば、「長生きする人は、毎日肉を食べている」というような話を聞くことがある。たしかに健康に生きるためには、適度に肉を食べることは必要だ。しかし、毎日肉を食べるということは、肉に含まれる脂質も相当食べているということにもなる。
肉を食べて脂質を摂取することが習慣になると、あなたの味覚が変化して、知らず知らずのうちに脂質を求めるようになってしまいます。
そうすると、もっと脂質が欲しくなり、肉などの脂っこいものや乳製品を摂るようになります。このくり返しが、さらに味覚を変化させ、いっそう脂質が欲しくなる。そして、いつしか脂質を摂取することが快感になり、さらに脂質が欲しくなる……。
これが、「脂質中毒」なのです。
こう聞くと「肉類や油料理はそこまで好きじゃないから大丈夫だろう」と思われるかもしれない。だが、そういう方であっても、ましてや脂肪を摂ることを意識して避けている人でさえ、いつの間にか脂質中毒になっていたというケースがよくあるのだという。
そればかりか、糖質制限をしている人が、脂質を摂りすぎて脂質中毒になってしまったということも珍しくないようだ。
脂質中毒になれば当然ながら、がんによる死亡リスクが高まり、心血管病も発症しやすくなる。さまざまな病気の原因となる肥満を誘発することにもなるため、健康は確実に損なわれるだろう。