過去に一度あっただけの血尿を、「すでに終わった話」として受け止めてもいいものでしょうか。それとも、「いまだになにかが続いている話」なのでしょうか。あるいは、自分で気付かない“1回”があったとしたら。血尿の怖さについて解説します。
・尿に血が混ざるって、どんなことが起きているのでしょうか?
A: 血尿の原因は多彩です。泌尿器科のセオリーとして、まずは感染症や結石、がんのいずれかを疑います。頻度の高さからいうと感染症と結石でしょうし、見逃してはならないという点ではがんの鑑別が優先されるでしょう。
・1回だけの血尿でも同様ですか?
A:回数は関係ありません。実際、「血尿が止まったから受診しなかった」と後になって告白して、“膀胱(ぼうこう)がん”が判明した患者さんは一定数いらっしゃいます。放置している間に、がんの進行を許してしまった形ですね。ただし、自然に治る血尿のケースもあります。どれに当てはまるのかは医師にしかわかりませんので、やはり受診だけはしてください。
・なぜ、症状としての血尿が出なくなるのでしょうか?
A:例えば、結石による出血なら、排出することで治ります。他方で、がんが進行していて、「たまたま、1回だけ尿の中に出血した」というケースも考えられるでしょう。血尿が出なくなるというより、「次の血尿がいつ出てもおかしくない」状況なのかもしれません。
・「血尿が出ても痛みはない」というケースはありますか?
A:早期のがんは、痛みを伴いません。「血尿が出ても痛みはない」のであれば、むしろがんが疑わしいですね。目で見える血尿なら気付くでしょうが、怖いのは、健診の異常値でしか知らされないケースです。おそらく、あまり危機感をもってない人がいらっしゃるのではないでしょうか。
血尿の最たる原因は、感染症、結石、がんにあるとのことでした。しかも、初期のがんには血尿以外の自覚が伴いません。仮に血尿が一度だけだったとしても深刻に受け止め、病気を早期発見するきっかけにしましょう。同じことは、数値に現れる健診結果にもいえます。異常値を痛みなどの自覚と同等に捉え、「なにかが起きている結果」とみなしてください。