90歳の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、健康などに役立つ話を覚え書きしていきたいです

アトピー性皮膚炎の新薬 従来薬が効かなかった患者も効果

近年めまぐるしい進歩を遂げているのが、「アトピー性皮膚炎の治療薬」だ。従来薬とは作用機序の違う薬が2018年度に日本で初めて登場し、それ以降、新薬が続々発売。これまでなかなか良くならなかった人も、著しい症状改善が見られている。

 

 1週間でかゆみが引き、2週間で「前と全然違う」と実感し、1~2カ月目には汗をかいてもしみなくなった──。18年登場の新薬「デュピクセント(デュピルマブ)」を小西院長が初めて投与した患者は症状が着実に改善し、「他の方も自分みたいに幸せになってほしい」と感想を漏らしたという。

 一方、製薬会社「サノフィ」が実施した「アトピー性皮膚炎の治療実態調査」では、薬の進歩が患者に浸透していないことが見て取れる。それによると、中等症以上の患者の69%が「アトピー性皮膚炎の原因物質を標的とした新しい治療法がある」と知らず、71.2%がアトピー性皮膚炎を「症状が繰り返す病気(良い状態をキープできない)」と考えていた。

 

 

「デュピクセントは、病気の原因物質に働きかけるようバイオ技術を用いて製造された生物学的製剤です。アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症を引き起こすサイトカインの働きを抑制し、アトピー性皮膚炎の症状を出にくくするのです。デュピクセント以降、生物学的製剤が2種類、登場しています」

 

“2種類”とは、ミチーガ、アドトラーザだ。いずれも注射薬になる。デュピクセントとミチーガは指導を受ければ在宅で自己注射できるが、アドトラーザはそれができないので、2週間に1度、注射を受けに病院に行かなければならない。

 また、細胞の内側にある酵素(JAK)の働きを抑え、炎症を抑えるJAK阻害薬も複数登場している。JAK阻害薬は生物学的製剤と異なり、内服薬となる。

「大人のアトピー性皮膚炎は重症化しやすく、再発頻度が高く、長期に及んで発症しやすいため、真面目に治療に取り組んでも十分な改善を得られない患者さんが少なくありませんでした。そういった方々が新薬で劇的に改善するケースを、18年以降、数多く経験しています」

 

 アトピー性皮膚炎の治療の流れは、基本はまず外用薬、それで症状のコントロールが不十分なら注射薬や内服薬の全身療法薬。生物学的製剤やJAK阻害薬の対象となるのは、従来の治療薬では十分な効果が見られなかった中等症から重症の患者だ。対象年齢は薬によって異なり、小児でも使える薬がある。

 

 

 

■切れ味が良く副作用が少ない注射薬

 数ある新薬の中でも、アトピー性皮膚炎の治療を行う医師の中で評価が高いのは、デュピクセント。

「切れ味がよく、副作用が少ない。私の患者さんでは、1回の注射で7~8割の方に何らかの改善が見られています」

 このデュピクセント、注射の投与は2週間に1回。15歳以上が対象だったが、今年9月から、生後6カ月以上が投与可能になった。

 

「注射薬という点がハードルの高さになるかと思っていました。しかし実際はそうではない。注射針を『刺す』というより『押し付ける』仕様で、成人はもとより、小児でも抵抗が少ない。それ以上にかゆみや皮膚のボロボロした感じがつらく、それらが抑えられるなら……という声をよく聞きます。別の薬の治験になりますが、親御さんにとっては『かゆくてかきむしっているのを見る方がつらい』と感じている。乳幼児への投与はこれからですが、需要は少なくないだろうと考えています」

 

 ネックといえば、価格の高さか。デュピクセント以外の生物学的製剤、JAK阻害薬も、従来薬と比べて高額。ただ、高額療養費制度が受けられる。小児では、健康保険が適用される医療費や薬代は無料となる。

 

「どの薬が合うかは患者さんそれぞれなので、医師との相談の上、決定する形になります。いずれにしろ、この5年でアトピー性皮膚炎の治療の選択肢は一気に増えました。『どうせ良くならない』と諦めていた人も、アトピー性皮膚炎をしっかり診ている皮膚科にぜひ足を向けて欲しい」