90歳の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、健康などに役立つ話を覚え書きしていきたいです

花粉症で起きる皮膚のトラブル、三つの原因

花粉症に悩まされるシーズンです。くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどさまざまな症状がありますが、目の周りが赤くはれる人も。

 

一つのアレルギー疾患から次々とほかのアレルギーが発症してしまう現象をアレルギーマーチと呼びます。このアレルギーマーチの概念は、1998年、日本人医師である馬場実先生が提唱されたものです。

 

 当時、アレルギーマーチの起点は食物と考えられ、そこからアトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎などが発症すると思われていました。

 ところが、Lack博士が二重抗原暴露説を提唱したことによって、皮膚からのアレルギー誘導がメインとする考え、いわゆる経皮感作がアレルギーマーチの起点と考えられるようになりました。つまり、まずアトピー性皮膚炎がおき、そこから喘息や花粉症などが起きるとする考えです。

 

 さて、花粉症があるアトピー患者さんはこの時期、目の周りの赤みが増強します。そして、アトピー患者さんは目の周りの特徴的な所見が目立つようになります。

アトピー患者さんだけでなく、一般の人も花粉症の時期、目の周りが赤くはれることがあります。そこで今回は注意すべき目の周りのかゆみについて、三つの原因を解説したいと思います。

 

 

1. 目のこすりすぎ
 原因でまず一番多いのは目のこすり過ぎではないでしょうか。花粉症で起きた目のかゆみを、手でゴシゴシこすってしまう。まぶたのあたりまでかゆくなって爪を立ててかきむしってしまう。そうなると当然、炎症は目の結膜だけでなく、周辺の皮膚に波及します。

 

2. 花粉アレルゲンによる直接の反応
 スギ花粉でアレルギー反応が起きる人は、花粉の成分に含まれるCryj1とCryj2が主なアレルゲンと考えられています。これら花粉のアレルゲンはタンパク分解酵素活性を持っており、大量に付着するとバリアー機能を破壊することが試験管レベルの研究で報告されています(文末に参考文献)。この研究は犬の腎臓細胞を用いた実験ではありますが、花粉が破壊するバリアー機能に関係する分子は人の皮膚でも共通しており、スギ花粉が皮膚に多く付着すると皮膚の炎症を起こす可能性があります。

 

3. 目薬、化粧品に対するかぶれ
 忘れてはいけないのは、花粉以外で起きる皮膚のトラブルです。たまたま花粉症の時期に重なって症状が出現しただけで、目の周りのかゆみはほかの原因の場合もあります。一番多いのは、目薬によるかぶれ。新しく目薬を使い始めた時期と目の周りのかゆみが出現した時期が一致していませんか? 目薬のかぶれは、その目薬を使い続けている限り症状が続きます。体が慣れてかぶれが治ることはまずありませんので、市販の目薬の場合は中止し、病院で処方されている場合は勝手にやめず主治医に相談することが大事です。

 

症状が長引いたり、日に日に悪化する場合は安易な自己診断をせず、しっかりと専門医に受診することをおすすめします。