着物に香りをたきしめるという文化の名残ゆえか、洗濯まわり用品が大ヒットしている。一方で、香りにまつわる健康被害が増加。
2017年の夏、日本消費者連盟(東京・新宿)が「香害110番」という相談窓口を2日間限定で設けた。その結果、想像を超える相談件数が集まったという。ここでいう“香害”とは、公害になぞらえ、香りに関係する健康被害を指している。香水や芳香剤、そしてこのところ急増しているのが、洗剤の香りによるものだ。
欧米では認知が広がり始めている「化学物質過敏症」だが、日本ではまだまだ認知度が低く、治療できる医療機関も限られているという。
「香りの強い洗剤や芳香剤がいい香りと思う方もいるのでしょうが、強い香りが刺激になり、体にさまざまな症状が出る方が少なくありません。そういう方の多くは、まさか洗剤、まさか柔軟剤と思わずに使い続けています」
「病院で受診しても原因がわからず、うつなど、ほかの診断をされてしまうこともあります。症状は人によってさまざまですが、頭痛、吐き気、咳、くしゃみ、かゆみ、イライラ、呼吸しにくい、下痢、気分の落ち込みなど、挙げたらキリがありませんね」
なぜ強い香りが体に影響を与えてしまうのだろう? それは、嗅覚が脳に直結しているからだ。解剖学では鼻を“飛び出た脳”“露出した脳”と呼ぶ医師もいる。動物の多くがニオイで危険や獲物をキャッチするように、人間もニオイで多くの情報をキャッチする。香りによってリラックスできたり興奮したりするのも、脳に直結して作用するからだ。
そんなデリケートな部分に強い刺激を与えれば脳が敏感に反応し、体のさまざまな部分に過剰に警告を出してしまうのも当然である。
「いい香りを演出するあまり、さまざまな化学物質が使用され加工されているため、それらに反応してしまう人が少なくないわけです」
ある日突然不調を感じ、思い当たる原因がないようなら、香りを疑ってみてもいいかもしれない。最近ではオーガニックの洗剤や柔軟剤も増えているので、試してみるのもひとつの手段だ。
私は強い香りが苦手なので香りの弱いものを孫に選んで買ってきてもらっておりますが、匂い残りなどを消せる香り付きが重宝されるのも分かります
便利な世の中になっても、どこかでその弊害が出るのは世の常なのでしょうか