90歳の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、健康などに役立つ話を覚え書きしていきたいです

永久歯が抜けても“第3の歯”が生える…「歯生え薬」にかかる大きな期待 来年にも臨床試験計画

 失った「歯」が再び生えてくる──。近い将来、そんな治療が現実になるかもしれない。来年7月、世界初となる「歯生え薬」の臨床試験が計画されている。研究を主導する医学研究所北野病院歯科口腔外科主任部長の高橋克氏に詳しく聞いた。

 

「第3の歯」をご存じだろうか。われわれの歯は3歳くらいまでに生え揃う乳歯、その後、成長とともに生え変わる永久歯があり、永久歯が抜けてしまうともう二度と歯は生えてこないと思っている人がほとんどだろう。しかし、じつは永久歯の次には「第3生歯」があり、その“芽”にあたる第3歯堤が存在している。通常、第3生歯は特定のタンパク質の働きで生えてこない仕組みになっているが、薬の投与によってそれを生やす試みが行われている。

 

「第3生歯は、『USAG-1』と呼ばれるタンパク質の働きによって成長が抑えられていることが研究でわかりました。そこで、その働きを抑えるUSAG-1中和抗体薬を開発しフェレットに投与したところ、第3生歯が生えたのです。将来的には人間でも第3生歯が生えてくる可能性があるのではないかと考え、まず今回は先天性無歯症患者さんに対する臨床試験を開始する予定で準備を進めています」

 

 歯はわれわれの健康寿命に大きく関係していて、とりわけ高齢者では、歯の本数が少ないとあらゆる病気を引き起こすリスクが高まる。

「高齢になると心身の機能が衰えるフレイルの状態になりやすく、フレイルは口から始まります。『オーラルフレイル』と呼ばれるもので、口の機能が低下すると話す力のほか、噛む力やのみ込む力が弱まり栄養不足になりやすい。また、歯が失われた状態を放置していると噛み合わせがずれて体のバランスが崩れたり、栄養不足で筋力が低下して転倒したりするリスクも高まるのです」

 

 噛む力が弱くなると脳が刺激されず脳血流量が減り、認知症の発症リスクを最大約2倍高めるとの報告もある。ほかにものみ込む力が弱くなると誤嚥性肺炎を引き起こして死亡するケースも少なくない。

 

 しかし、日本では生涯にわたってすべての歯が残っている人は多くない。2016年に発表された厚労省の歯科疾患実態調査のデータによると、虫歯や歯槽膿漏、外傷といった原因で歯が1本以上失われた人は国内に約5800万人いると報告されている。全人口の約半数が歯を1本以上失っている計算だ。

 

臨床試験が始まる“歯生え薬”が将来的に第3生歯の形成に適応されれば、治療の選択肢が増えるほか、歯の欠損で引き起こされるあらゆる病気を予防する先制医療にもなります。人間の第3歯堤は20歳前後で退化消失すると考えられてきましたが、最近の研究で約44%の人は30歳を越えても第3歯提の断片が残っていると報告されました。薬の投与で復活させられる可能性は高いと考えています」

 

 歯生え薬を早期に投与しておけば、高齢になって永久歯が失われても第3の歯を生やせる未来が来るかもしれないのだ。

 

 

 

 

医療の発展に驚くことの多い現代ではありますが、この記事にはとくに驚いております

私はさすがに記事にある医療の恩恵に預かれることはないでしょうが、この先病気や事故で歯をなくした方々が再び自分の歯でものを食べられるというのは本当に素晴らしいことだと思います