脂質異常症は、血液中の脂質(脂肪)が多くなる病気です。悪玉「L D Lコレステロール」の多過ぎ、中性脂肪の多過ぎ、善玉「H D Lコレステロール」は少な過ぎる、というアンバランスな状態です。
初期には自覚症状はありません。放置していると、気がつかないうちに血管の内側に余分な脂肪がこびりつき、ドロドロの粥状のかたまり“プラーク”ができます。すると血管は硬く弾力がなくなる“動脈硬化”という状態になり、もろく、切れたり詰まったりしやすくなすのです。
さらに、プラークが破れると、そこに血のかたまり“血栓”ができます。血栓が、詰まりやすくなった血管をふさぐと血流が止まり、その先の組織や臓器は死んでしまいます。脳の血管が詰まれば脳梗塞、心臓の血管が詰まれば心筋梗塞が起こります。
健康診断で血中脂質検査の結果が「要指導」や「要治療」になっていたら、脂質の状態に異変がある可能性があります。早めに医療機関を受診することをお勧めします。
脂質異常症の予防や改善の目標は、余分な脂肪でドロドロになった血液を脂質検査の基準内におさめ、血液がスムーズに流れるようにすることです。下記の食事や生活習慣のポイントをおさえて、改善を図りましょう。
【食事のポイント】
・ゆっくり食べて腹八分目
・バランス良く、主食も適量食べる
・夕食はカロリー控えめ、夜食は食べない
・動物性脂肪は控えめ(肉類の脂身、バターなど)
・青魚は多め(サバ、イワシ、サンマなど)
・植物性タンパク質をたっぷり(大豆、大豆製品など)
・食物繊維をたっぷり(野菜類、根菜類、キノコ類、豆類、海藻類など)
・ビタミン類が多い緑黄色野菜を毎日食べる(ニンジン、カボチャ、トマト、ピーマンなど)
・コレステロールが多い食品は食べ過ぎない(鶏卵、イクラなどの魚卵、ウナギなど)
・酒類を飲み過ぎない(1日にビールなら大瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯まで)
・週に1日は飲酒しない休肝日を作る
【生活習慣のポイント】
・禁煙する
・ストレスをためない
・睡眠を十分とる
・適正体重を保つ
・適度な運動をする
運動不足は肥満につながり、脂質異常症を招きます。運動習慣のなかった人は、まず1日10分程度の運動から始めます。
ジョギングやスイミング、サイクリングなど、継続して動くことで体に酸素を取り入れる“有酸素運動”が効果的ですが、誰でもできるウォーキングがお勧め。通勤通学時にひと駅手前で降りて歩く。エレベーターやエスカレーターより階段を使う。買い物の時は自転車をやめて歩く、などあえて時間を作らなくても、ちょっとした工夫で自然に歩数は増やせます。加えて、テレビを見ながら筋力トレーニングやストレッチ体操をするなど、毎日の運動時間が合わせて30分以上になれば理想的です。