90歳の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、健康などに役立つ話を覚え書きしていきたいです

「腰痛の8割は原因不明」は古い…最新報告は「8割は診断可能」

【ひどい腰痛も8割治る】#2

 腰痛には、原因・治療法が確立されているものと、そうではないものがあります。原因不明な腰痛を「非特異的腰痛」と呼び、これまでは全腰痛の85%を占めるというのが医療現場での半ば常識でした。

 

 ところが最近は診断技術の飛躍的な進歩もあり、状況が変わってきています。最新の報告では、非特異的腰痛は22%。つまり多くの腰痛は診断可能なわけですが、「腰痛は原因がわからないから」という思い込みから抜けられていない医師も、残念ながら少なくありません。

 

 昨年の秋、そんな腰痛の原因が不明のまま複数の整形外科を受診した末に当院を受診された、60歳代の男性がいらっしゃいました。

「40年前に柔道をしていたとき、腰に違和感がありました。ぎっくり腰を発症したこともあります。今は柔道はやめているのですが、腰の不調があるのでコルセットを着けて日中は過ごしています。最近、腰痛が悪化し、別の整形外科を受診したのですが、『仕事で座っている時間が長いと腰痛が起こるのも仕方ない』『痛みが治るまでは安静に』と言われただけで、湿布だけを渡されました」

 

 一般的な街にたくさんある整形外科のクリニックには、MRIがなくレントゲンによる検査しかできないことが多いのですが、このレントゲン撮影では骨は映りますが、椎間板などといった、より詳細な部位を見ることができません。そのため患部を見落としたわけではないのですが、判断ができないということが少なくないのです。この方の場合もそんな理由で患部の特定ができなかったようです。

 

 

 そこで私は画像検査を実施すると、椎間板に変性があり、椎間板ヘルニアが認められたことから当院の治療を実施し、術後のリハビリとして水中ウオーキングを始めてもらいました。

 

 この運動・ストレッチは術後の患者さんには必ず指示していますが、特に水中での運動は、腰や足の痛みやしびれで歩くことが困難な方には、転倒などのリスクがなく、それに空気中と比較すると水の抵抗があるため適度な筋肉への負荷がかかり、より効果が期待できます。

 

 こうして1週間後には足首の痛みが軽減し、3カ月後には長時間立っていると腰が重くなるものの、痛みはない程度になりました。引き続き水中ウオーキングなどのリハビリを自主的に行ってもらうようにし、現在はコルセットなしで生活ができるレベルにまで改善しています。

 

「腰痛の85%は原因不明」を前提とした診察では、原因の見逃しにつながります。腰痛の隠れた原因を見つけるには、問診と画像検査は必須。生活習慣や姿勢の癖なども確認しなければなりません。そういったことが行われず、ただ「腰痛ですね。安静に」と対応する医療機関であれば、別のところを受診した方がいいかもしれません。

 

 

 

同居してくれている孫も軽い腰痛を持っていると聞いておりますが、病院でみてもらっていない様子です

記事にもあるように医学の進歩の恩恵があるのですから、腰痛に限らず色々な悩みをお持ちの方はものぐさがらずに一度お医者様に相談してみるというのは大事だと思います。