90歳の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、健康などに役立つ話を覚え書きしていきたいです

手足の「ふるえ」は病気の可能性も

はしやペンが持ちにくい、人前に出るのが恥ずかしい――。慢性の手足のふるえで、日常生活や仕事などで困っている人は少なくない。

治療を受けずに自分流で対処して過ごしているケースも多い。ふるえの診断や治療法は進化しており、専門医による正しい診断や治療で改善することも増えてきた。

 

 

ふるえは、自分の意思にかかわらず体がうごく「不随意運動」のひとつだ。寒さや緊張によるふるえは誰にでも起こることだが、なかには生活に支障をきたすふるえや、他の症状を伴う進行性の病気の場合もある。

病気によって、薬や外科手術など治療の方法が違う。梶山裕太医師は「甘く見ずに専門外来か、脳神経内科を受診してほしい」と助言する。

 

 

患者数が多いのは、本態性振戦だ。10~40人に1人発症するとされる。若い頃に発症する人も少なくない。コップを持つなどの動作にともなって手足や頭部がふるえることが多い。小脳などの脳の部位の異常が原因とされている。ふるえ以外の症状はなく、ゆるやかに進行する傾向がある。

 

 

本態性振戦の場合は、β遮断薬、抗てんかん薬などの薬の服用である程度コントロールできる。日常生活や仕事に支障がある場合や、精神的に影響が出る場合などは治療を始めるとよい。

高齢になって発症する本態性振戦は進行が遅く、生活に支障が出ない場合もある。治療するかしないかは、本人の希望なども合わせて判断することが多い。 ふるえが出ることが多い進行性の病気の代表例は、パーキンソン病だ。特定の神経細胞が死んで起こるとみられ、安静時に起こるのが特徴だ。

 

 

ほかには小脳障害などでもふるえが出てくることがある。まずは、正しく病気を診断してもらい、適切な治療を受ける必要がある。 薬でふるえが止まらない場合は外科手術をするケースもある。ふるえを引き起こす視床という脳の部位に電極を刺す「高周波凝固術」や、ふるえを電気刺激で抑える装置を体内に埋め込む「脳深部刺激療法」などがある。

 

 

本態性振戦とパーキンソン病では、MRガイド下集束超音波治療などのメスを使わない外科手術も普及し始めている。 外科手術は入院などが必要だが、ストレスの軽減や仕事の効率向上などふるえの治療で得られるメリットは大きいという。