90歳の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、健康などに役立つ話を覚え書きしていきたいです

冷たい濁流に体力奪われ、姉らと抱き合い5時間…力尽く

熊本県芦北町佐敷地区で犠牲となった酒井民子さん(82)は4日未明、押し寄せた濁流に首までつかり、姉の大瀬妙子さん(87)らと抱き合って約5時間耐えたが、力尽きた。

 

 4日午前3時過ぎ、大瀬さんは猛烈な雨の中、隣で1人暮らしをしている酒井さんを起こしに行った。耳が遠い酒井さんを夫と2人で寝室から外に引っ張り出したが、その時にはベッドの高さまで水が押し寄せていた。水かさはどんどん増して1階が水没した。

 

 3人は玄関横の物置に入り、荷物に上った。物置の屋根を突き破ったが、迫る水に首までつかった状態で身動きが取れなくなった。元々体が弱い酒井さんは、はじめは呼びかけに応じていた。だが、冷たい濁流に体力を奪われ、助けを待っているうちに口から泡を吹き、反応がなくなった。自力で踏ん張れなくなった酒井さんが流されないように大瀬さんと夫は、酒井さんの体を抱き、手を握り締めて、懸命に耐え続けた。

 

 約5時間後の4日午前9時ごろ、近所の人がカヌーで助けに来てくれ、酒井さんを民家に運び込んだ。しかし、酒井さんは息を引き取った。

 

 大瀬さんにとって、酒井さんは小さなころから男の子たちとチャンバラをする活発な妹だった。若いころは陸上やソフトボールの選手として活躍し、草野球の監督も務めた。友達が多く、地域の人にも愛された。年を取ってからも「姉ちゃんの世話にはならん」と口癖のように話していた酒井さん。そんな妹を思いながら、大瀬さんは「自分が最後まで世話をしてあげられた」と語った。

 

 「自分が生き延びることで精いっぱいだった。何とか妹の火葬だけはしたが、葬儀は落ち着いてからでないとできない」。大瀬さんは寂しそうに話した。

 

 

 

昭和の初めに比べ格段に河川の氾濫などの話は少なくなったと感じますが、平成も終わった現在でも起こりうるということに心が痛みます

子や孫の世代がこういった災害で命を落とすことがない治世になってくれることを願います