現状の薬や治療法では、物忘れや認知症を完全に防ぐこと、治すことは難しい。しかし進行をゆるやかにする薬はあり、生活習慣の改善などによって、発症や進行を遅らせたり、防げたりする可能性がある。早期発見、対応が鍵だ。
「物忘れ」を引き起こす病気には、治療可能なものと、治療が難しいものがある。治療可能な病気には、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、ビタミンB1・B12欠乏症、うつ病に加え、薬の副作用によるものなど、さまざまある。
一方、治療が難しいものの代表格がいわゆる4大認知症だ。神経の変性による「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」、脳の血管障害による「血管性認知症」は残念ながら、根治が期待できる治療法はまだない。現状の薬物療法は、進行をゆるやかにするためのものだ。
物忘れなどの認知症の中核症状に対して、アルツハイマー型認知症では「塩酸ドネペジル」などの4剤が、レビー小体型認知症では1剤のみ、保険適用が認められている。不安やうつ症状、怒りっぽくなるなどの「行動・心理症状(BPSD)」には、環境調整や心理療法、リハビリテーションなどのケアをしてもコントロールが難しい場合に、向精神薬や漢方薬などを使用することがある。
■本人を否定しない家族の関わり方
進行をゆるやかにし、患者ができるだけ穏やかに暮らすためには、家族の対応も重要だ。患者の言葉や行動に対して、叱ることや否定的な言動は避けることが望ましい。
「患者さんにとっては自分が感じている世界が真実なので、その言葉や人格、存在を否定するような言葉は使わないようにしましょう。叱っても、叱られた内容は忘れてしまい、叱られたというネガティブな体験だけが患者さんの中に残ってしまいます」(同)
家族が良かれと思うことが逆効果になることもある。例えば脳力トレーニング(脳トレ)は、本人が興味をもってする場合は良いが、強制的にやらされると負の感情だけが大きくなり、うつ症状につながることもあるという。
「大事なのは患者さんが無理なく続けられることです。情動がアクティブになることが脳の良い刺激になるので、脳トレに限らず、楽しくできることなら、どんな活動でもいいと思います」(塚本医師)
こうして認知症患者と向き合っていく家族らの身体的、精神的負担は大きい。症状が進行したらどうすればいいのかなど、生活や症状に対する不安を和らげるために、自治体では認知症になった人とその家族をサポートするさまざまな支援体制を整えている。
「患者さんやご家族の希望、症状の進行度などによって必要な支援は異なります。まずは地域のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると、何に困っているか、どんな支援が必要かなどについて話し合えるでしょう。症状が進行して問題行動が増えた場合は、最寄りの認知症疾患医療センターなどに相談してもいいでしょう」
私は誰かにやらされて認知症予防のためのなにかをしているわけではないのでこの記事とは関係ないのかもしれません
ですが記事を読まれる方でもし身の回りに認知症のおそれがある親類がおられる方は慎重にその親類の方と向き合ってほしいと思います