薬には副作用が付き物ですが、その副作用は、若い人よりも高齢者の方が出やすい傾向にあります。
そのため、昔からずっと飲んでいる薬、昔よく使っていた薬・・・といったものであっても、改めて服用した際に思わぬ副作用を起こすことがあります。こうした副作用を起こしやすくなるのはなぜでしょうか。
高齢者が薬の副作用を起こしやすい、大きな2つの理由
高齢者が副作用を起こしやすい理由にはさまざまなものが考えられますが、大きな理由としては、下記の2点が挙げられます。
1.いろいろな疾患を抱えていることが多い
2.腎臓や肝臓などの機能が衰えている
たとえば、高齢者では複数の病気を抱えている人が多いため、必然的にたくさんの薬を使うケースが増えます。使う薬の数が増えればそれだけ副作用のリスクは高くなりますし、また使う薬の組み合わせや持病との兼ね合いによっては、薬の副作用が出やすくなってしまうこともあります。
抱えているトラブルも“高血圧”や“糖尿病”のように治療が長期間に渡るものが多くなり、薬を使う期間が長くなることも副作用を起こしやすくする要因になります。
一方、薬は肝臓や腎臓で分解・代謝されて体の外へと出て行きますが、分解・代謝の能力は加齢によって確実に衰えていきます。そのため、同じ薬を同じ量だけ使ったとしても、若い人より高齢者の方が副作用が出やすくなるのです。
他にも、体の筋肉量や水分量が少ないことから、若い人とは違った薬の分布(薬の体内における吸収や移動)のしかたをすることもあります。
身体的な理由のほかにも、副作用リスクを高める要因は、日常生活のいたるところに潜んでいます。
たとえば高齢になると、トイレが近くなるのを嫌がってあまり水を飲まなくなったり、暑さや喉の渇きを感じにくくなったり、「エアコンは体に悪い」という思い込みで冷房を使わなかったりするため、熱中症や脱水症を起こしやすい傾向があります。脱水症状は、薬による腎障害のリスクを高めてしまうことがあります。
また、高齢になると薬に書かれた小さな文字や数字が見えにくくなったり、耳が遠くなり薬をもらった際に医師や薬剤師の説明を聞き間違えることもあります。 これによって、使う薬や用法・用量を間違え てしまうケースも 増えてくるでしょう。こうした要因も、薬の副作用に大きく影響します。