日本人の死因の第一位はがんですが、それに次いで多いのが心臓の病気です。なかでも虚血性心疾患は、近年増加傾向にあります。虚血性心疾患の要因としては、加齢や遺伝、そしてライフスタイルの変化があげられます。
虚血性心疾患は、心臓の血管を詰まらせることで起こりますが、その詰まりの原因は“動脈硬化”です。動脈硬化は突然起こるわけではなく、数年をかけて血液中に余分な脂肪がたまり、血管の内側の壁にプラークという塊を作り、それがコブとなって血流を妨げるのです。この動脈硬化を招く最大の原因が、ライフスタイルの変化です。
虚血性心疾患から身を守る見落とせないサイン
動悸や息切れ、胸の痛みなどはわかりやすいサインですが、まれに心臓以外にも異変が現れることがあります。たとえば、肩が痛い・肩が凝る、背中が痛い、みぞおちが痛む、声がかすれる、奥歯が痛い、手足がむくむなど。
これらは放散痛といい、心臓とは関係ないと思われる部分に現れる症状で、特に、左腕や左肩に痛みが出るケースが多くあります。いつもと違う肩凝りや、長引く歯痛の場合には、心臓に異常が隠れているかもしれませんので、早期の専門医受診をおすすめします。
また、痛みが出る前や心臓に負担がかかる前に、定期健康診断で肥満ではないか、血圧は正常か、コレステロール値は高くないか、血糖値は高くないかなどをチェックすることも大切です。40歳をすぎるとリスクも高くなってきますから、十分な健康管理が必要です。
いざという時にはAEDで救命できる
AED(自動体外式除細動器)は、心臓がけいれんを起こして全身に血液を送れなくなった時(心室細動や心室頻拍)、心臓に電気ショックを与えて心臓のリズムを正常に戻すための医療機器です。
2004年から一般に使うことが認められるようになり、今では公共機関をはじめとして、多くの施設でAEDが設置されています。 使用制限が緩和され多くの施設に設置された理由は、救命率を上げるためです。心停止してからの救命率は1分ごとに7~10%低下するといわれています。令和2年の総務省の調査では、救急車が到着するまでの時間は平均およそ8.7分。