「大腸がん」
大腸がんは食事と関係の深いがんです。もともと欧米で多く、日本でも増えています。野菜が減って肉が主体の食事になるとよろしくありません。
■血便に注意 進行はゆっくりで、比較的おとなしいがんです。早期に見つかれば内視鏡で治せます。ある程度ステージが進んだとしても手術や、さまざまなパターンの薬物療法を駆使して制御できるようになってきました。
早期の段階で自覚症状はほとんどありませんが、進行すると血便が出ます。おなかが張ったり便秘になったりもします。血便は痔(じ)と間違えて見過ごさないようにしてください。 大腸がんかどうかは内視鏡検査をすればはっきりします。ポリープなどの病変が見つかれば、組織を採取して病理診断もできます。
大腸がんにならないためには生活習慣の改善が大切です。肉ばかりを食べたり過度の飲酒、喫煙、肥満はリスク因子となります。
一方、食物繊維はリスクを下げてくれます。食物繊維は腸内細菌叢(そう)(腸内フローラ)を育て、腸内環境を整えてくれるからです。腸は植物で言えば「土」に当たります。“有機栽培”で良い土壌が育てば、きれいな花が咲きます。
「肺がん」
肺がんは治りにくいがんです。患者さんは多く、年間に約12万5千人が発症し、7万5千人余りが亡くなっています。しかし、最近は新薬の開発が進み、生存率は年々上がっています。
■タバコが原因
肺がんは小細胞肺がんと非小細胞肺がんに分けられます。非小細胞肺がんには腺がん、扁平(へんぺい)上皮がん、大細胞がんがあります。一番多いのが腺がんで7割近くを占め、2番目はタバコが原因の扁平上皮がんですが、喫煙率の低下に伴い3割まで減少しました。
小細胞肺がんは悪性度が高く、多くの場合、発見されたときはあちこちに転移しています。そうなると手術は難しく、もっぱら内科的な治療になります。
肺がん全体の5年生存率は35%くらいです。なぜこんなに悪いのかというと、手術ができる状態で見つかる人(I、II期)が全体の30%くらいしかいないからです。IA期の人に手術をすると、5年生存率は86%。この段階だと治る可能性は非常に高いのです。
早期発見には検診が大切です。検診で異常を指摘されたら、精密検査をきちんと受けてください。
「乳がん」
乳がんは女性がかかりやすいがんのトップです。9人に1人、年間9万人余りが発症しています。死亡は年間約1万5千人、65人に1人くらいになります。
■家族歴に注意
40歳以上の人や、家族に罹患(りかん)歴がある人は気を付けなければなりません。乳がんに深く関係している遺伝子があることが分かっています。米国の女優アンジェリーナ・ジョリーさんは健康な乳房を予防のために切除しました。家族を乳がんで亡くしており、自分の遺伝子を調べると、将来、同じように乳がんを発症するリスクが高いことが分かったからです。
乳がんは早期に見つかれば完治が望めます。10年生存率は約80%です。検診には市町村が行う対策型検診と、個人が自費で行う任意型検診があります。対策型ではマンモグラフィー、任意型では超音波検査が中心です。超音波を使うと、40代の乳がんを早く見つけることができるので、家族歴がある人、気になる人は個人で超音波検査を受けた方が良いでしょう。