もはや現代病ともいえる肩こり。多くは筋肉の緊張が原因だが、ほかの症状が伴うようなら、下記のような病気も考えられる。
●リウマチ性多発筋痛症
50歳以上の大人の女性に多く発症する、原因不明の炎症性疾患だ。肩から首の痛みに加え、発熱、腰や大腿部、四肢に近い部分に筋肉痛がある場合は、この病気の可能性があります。就寝中の痛みで寝返りが打ちにくくなることも。多くはないものの、失明するケースもある。血液検査でCRP高値、赤沈亢進(せきちんこうしん)などの炎症反応があるのが特徴。治療はステロイド薬がよく効く。ただの肩こりと片づけないことが肝心だ。
●甲状腺機能低下
甲状腺ホルモンが不足する病気で、臓器の働きや細胞の代謝が低下するため、体のあちこちに不調が出る。気力が出ない、寒がり、便秘、髪が薄くなる症状も。
●カリウム不足
体内のカリウムが不足すると、消化管や筋肉、腎臓、神経系に不調が生じる。血清カリウム濃度が3.5mEq/L未満だと「低カリウム血症」。肩の痛みに加えて、しびれ、筋力低下、嘔吐などの症状が現れたら要注意。
体の広い範囲に激しい痛みが3カ月以上続くようなら、この病気の可能性も。疲労感、不眠、うつ症状などの不定愁訴も伴う。 ただの疲れではすまされないこともある肩こり。それは体からの悲鳴かもしれない。頑張りすぎず、体からの合図を観察して、医師に相談することが大切だ。
など、症状を細かく観察することが、隠れた病気を見逃さないためのポイントだ。
「不調の原因や病気の自己判断は禁物。医師は想像以上にさまざまな要因を考えて診断と治療を行なっています。ここでご紹介するケースは、医療機関にかかるうえでの“参考”として役立てていただければと思います」
“痛み”といっても、どんな痛みがどのくらい続いているかで、考えられる病気も異なる。
1.どこに(部位)どんな症状(痛み、しびれなど)があるのか
2.その程度(眠れないほど痛いなど)
3.始まった時期や頻度、継続時間、時間帯
4.症状が軽減または悪化する要因(入浴で楽になるなど)
5.併発する症状があるか
ただの疲れではすまされないこともある肩こり。それは体からの悲鳴かもしれない。頑張りすぎず、体からの合図を観察して、医師に相談することが大切だ。