80代の毎日覚書

孫に教わりながら日々挑戦、気に留まった話を覚え書きしていきたいです

体外受精で赤ちゃんが産まれる「確率」は6%未満

日本産科婦人科学会の最新報告によれば、体外受精の治療件数は年々増え、2018年は過去最多の45万4893件に対し、生まれた赤ちゃんの数もこれまでで最も多い5万6979人。しかし、最終的に出産できた数を示す「生産率」は、ここ10年で下向きに推移しており、2018年はわずか5.7%と過去最低だった
 


 医療の質が下がってきているから? と思う人もいるかもしれないが、そうではない。日本では、「出産に結びつかない体外受精」が大量に行われているのだ。背景にあるのは、患者の年齢が高いことと、「自然こそが尊い」とする日本特有の価値観だ。

 

 不妊治療専門の東京HARTクリニック(東京都港区)に勤め、20~30代への啓発にも取り組む小柳由利子医師は、「体外受精の生産率から考えると、本来は35歳程度をめどに治療がすすめられるべきですが、年齢別の治療件数をみると日本のピークは40歳。理想の治療年齢と実際の治療年齢に5歳ものズレがあり、ここに日本の不妊治療の深刻な問題がある」とみる。

 

「芸能人の高齢出産のニュースを聞いて、『40まで大丈夫』と思っている患者さんが多いのですが、40代の場合、体外受精で妊娠できる人は治療全体の1~2割。一般的に思われているよりも、現実は厳しいのです」(小柳医師)

 

 不妊治療の最後のステップである体外受精だが、「体外受精まで進めば妊娠できる」という楽観的な見方は幻想にすぎない。

 また、小柳医師は、不妊の知識向上と並んで「女性が40歳までに安心して産み終えることができる社会づくりが必要」と訴える。

 

 

小柳医師は、この点について「日本では、体への負担は少ないが、妊娠率の低い『自然採卵』が多く行われています。『全胚凍結周期』(=受精卵を移植せずに凍結保存する方法)を除いて集計している2007年以降も、生産率が減り続けているのは、結果につながらない採卵が増えている、ということにほかなりません」と指摘する。

 

 

「薬で卵巣を刺激して、一度の採卵で複数の卵子を確保する『調節卵巣刺激法(高刺激法)』が世界標準の治療なのに、日本人は『自然』を好むため、自然排卵による周期(低刺激法)で採卵するクリニックが人気です。

 

しかし、その方法による妊娠率が、刺激による採卵法より大幅に劣るのは、海外の研究から明らかです。クリニック側は数字を公表しませんから、一般の人が知るのは至難の業でしょう。結果、採卵を何度も繰り返すことになり、刺激して複数の卵子を採れば早く妊娠できたのに時間をロスする方が多いのです」 

 

 前述した通り、不妊治療は時間との闘いだ。小柳医師は、「自然採卵」による治療を、「複数の卵子が育ちにくいタイプなどには有効」としたうえで、「あくまでオプション治療であるべき」と主張する。ちなみに、イギリスのガイドラインでは、医師は自然周期治療を提供しないように勧告している。