突然発疹し、強いかゆみが何日も続く。この季節、毒を持つ毛虫、チャドクガの幼虫による皮膚炎が増えるという。記者も先日被害に遭ったが、どこで刺されたか見当もつかない。正体と対策を専門家に聞いた。
先月上旬、腕に直径1センチほどの赤い腫れが複数できた。蚊に刺されたかと放置していると、みるみる腫れが数十個に増え、脇や首にも。かゆくて寝付けず、皮膚科に駆け込んだ。
医師は一目見て「この虫ですね」。黄色っぽい体に黒の斑点。木の葉に群がる毛虫の写真を見せてくれた。 チャドクガは国内では岩手県以南に生息し、ツバキやサザンカなどツバキ科の植物に卵を産む。葉を食べて育つ幼虫には肉眼では見えない長さ約0・1ミリの「毒針毛(どくしんもう)」が1匹当たり数十万本あり、人間の皮膚に刺さると、1~2日後に毒成分のヒスタミンが腫れやかゆみを引き起こす。
チャドクガは1年に4~6月と8~9月の2回ふ化する。被害が増えるのも同じ時期。この頃にかゆみを伴う発疹がたくさん出たら、その疑いが濃い。かくと悪化するので、セロハンテープなどを当てて毒針毛を除去し、せっけんで洗った後に皮膚科へ行くことを勧める。放置するとかゆみが1カ月ほど続き、いぼのような跡が残ることもある。
栽培者の心掛けも肝要だ。チャドクガは手入れ不足の木に発生しやすい。剪定(せんてい)して風通しや日当たりを良くすれば、産卵数が減る。卵や幼虫を見つけたら、殺虫剤で駆除するだけでなく、周囲の枝葉も切り、袋などに密閉して処分する。放置すると毒針毛が舞って被害が広がる。